第20回 ホイットル
ホイットル (1907~)
国際化時代を陰で支える主役、それはなんといっても航空機愉送であろう。今日のような高々度、高速飛行が可能になったのはジェット・エンジンの登場からである。
このジェット・エンジンの発明者がイギリスの航空士官であったホイットルである。地元の中学校を卒業すると、彼はまず空軍の飛行学校に入学し、ついで上級の士官学校へ進むという典型的軍人コースを歩んだ。任官後はテストパイロットとして軍の職務を遂行する毎日であったが一方で彼には大きな夢があった。士官学校在学中、彼は、「飛行機設計に関する将来問題」という論文を書き、その中で「非常な高速と大きな航続距離とを同時に満足させるには空気密度が小さい高空を飛行する以外にはない」と指摘していた。それを実現するものとして、ジェット推進とガスタービンを結びつける新しいエンジンの着想を思いついていたからである。
軍人であった彼が発明の才を開花させた背景には、大きく二つの理由があったと思われる。ひとつは小さな機械工場を営んでいた、技術者であった父の影響。もうひとつはパイロットとしての職務経験である。この両者があったときはじめてジェット・エンジンの着想が生まれたのだと思われる。
開発は巨額の資金を必要とすることから困難を窮めたが、着想を得てから13年後の1941年5月、試作実験機がイギリスの上空に浮かんだ。飛行時間は17分であった。