第49回　ニュートン

ニュートン (1642～1727)

「近代科学の父」と呼はれたガリレイが亡くなったその年、アイザック・ニュートンが生を受けた。不思議なめぐりあわせというしかないが、ガリレイが芽吹かせた近代科学をニュートンは立派に大輪の花に開花させた。
　今日でこそニュートン力学は「古典物理学」と呼ばれているが、歴史を振り返ってみたときその業績は依然輝かしいものである。ニュートンが著した歴史的名著『プリンキピア』によって、人々は初めて、物理的な世界を「数学」という共通の言葉で理解し語ることができるようになった。しかも驚くべきことに、その大部分の成果をニュートンは20代に成し遂げている。まさに天才というにふさわしい人物であった。
　天才ニュートンの天才たる所以は誰よりも秀でた着想の飛躍と推察力にある。万有引力の法則も月とリンゴとガリレイの慣性の法則を結び付けたところに結実したものであったし、それをケプラーの法則に当てはめることによって宇宙のあらゆる物体にもこの法則が成り立つことを証明した。
　この、研究に棒げる情熱と集中力は尋常ではなかったようだ。初期の重要な研究成果についてはなんら発表の手段を取らなかったばかりか、その研究メモを紛失したりもしている。ニュートンにとっては創造の時間がすべてであり、それ以外の名声を得ることなどは眼中になかったようである。